海の青
家に帰ると休暇中のノーマンが迎えてくれた。
「おかえりジョン」
長い航海だった。途中の大時化で酷い目にあった。
真っ暗な空と海。
「疲れただろう。今夜はゆっくりお休み」
優しい声に心が安らぐ。
頬を撫でられ抱きしめられて、そっと額にキスされて。
久々に感じる兄の体温に、肌の匂いにくらくらする。
「あの、さ、兄さん」
「ん?」
「……したいな。良い?」
兄が目を細め、いたずらっぽく笑う。
きらめく陽光のような、金色の睫毛に縁取られた青い瞳。
飛び込んでしまいたいような海の青。
「あっ、ふぁ…兄さ、あッン、俺、ばっか、り、やぁ……」
再び兄の口で果てる。
掴んでいたシーツはぐちゃぐちゃだ。
始まりはバスルーム。隅々まで洗われ、ゆるく勃ち上がった前を手で愛撫された。
耐え切れずあっさり解放してしまう。
うろたえると、大丈夫だよと口づけられて。
── ずっと我慢していたんだろう、よくがんばったな。
「良い子だ」
耳元で囁かれて、また放つ。
ぐにゃぐにゃになった身体を優しくベッドに降ろされる。
爪先から全身についばむようにキスされる。
ひくつく窄まりにたっぷりのローションで濡れた長い指が差し入れられる。
「ひ…ぁ…あぅ、アッ、んっ、あ」
中を擦られて、抜かれて、また入れられて。腰がびくびく跳ねる。
前は兄の口の中。どっちも熱くて溶けてしまう。
俺ばっかりだ。俺ばっかりこんなになって。兄さんは良いの?
「ご褒美だよ」
がんばり屋の、かわいい弟に。
兄が微笑む。
兄の指が、唇が、舌が、あっちやこっちを伝う。
視線が絡む。大好きな青い瞳。晴れた日の海の青。
たまらない。
「あ、にぃ…さ、ノーマン、も……欲しい、よぉ、お願い、アッ、ぁ…」
兄が微笑む。
「──ッああぁっ!」
奥まで穿たれ、途端に達してしまう。
「……あっ!兄さん、にいさ、ん、好き!んぁっ、す、き、好き、アッ!あぁ!」
揺さぶられ、かき回され、撫でられ、口づけられて、とろける、叫ぶ。
「ジョン、愛してる」
「何てかわいらしい」
囁かれるたび胸がいっぱいになる。
熱い瞳に見つめられる。
飛び込んでしまいたいような、海の青────────
あとはそのまま、くたくたになって眠るまで。
何度も何度も愛された。
2021.9