雨の日
外は雨。
明日は兄さんが帰ってくる。
ベッドでノーマンのシャツを抱きしめる。
クローゼットから失敬したものだ。
「……ぁ…兄さん」
下着を下ろす。兄のシャツに顔を埋めて。
日向の匂いと、ほのかに兄の香りが混じる。
雨のあとみたいな、少し甘い──
「ノーマン……」
熱を持った自身に手を伸ばす。
あんな映画を見たからだ。
興味なかったのに、叔母たちに連れて行かれた恋愛もの。
ヒーローは少し兄に似ていた。
太陽のような金色の髪、瞳は青い海の色。
忙しく手を動かす。
「兄さん……」
映画のヒーローは、燃えるような瞳でヒロインを見つめる。
兄に似た青い瞳で。
「ふ、あっ……」
抱きしめて、優しく愛を囁いて、キスをして──
映画の中の瞳が、愛しい兄の瞳にかわる。
瞳は青い海の色。
太陽みたいな金色の髪。
─── ジョン
兄の優しい声を想う。
「兄さん……」
俺を見て。
あの映画みたいに。
「兄さ……ん、く…はぁ」
抱きしめて。
「にい、さ…アッ、ん、好き」
愛してると言って。
「好き、にい…さ…ん、好き、すき、あっ」
─── ジョン、愛してる
シャツの香りを深く吸い込む。
日向の匂いと、少し甘い、大好きな兄の────────
「ン、あ、あぁッ!」
腰が痺れて、爆ぜる。
背骨がとろける。
熱い。
息を整えながら、兄のシャツを見る。
クローゼットに戻す訳にはいかない。
「……ごめん」
胸がズキズキ痛む。
兄さんは何も知らない。
俺がしてること。
兄さんで抜いてること。
自分の想いに気づいてから、何度も何度も繰り返し。
外は雨。
「ごめん」
俺は良い弟になれない。俺は……兄さんに愛されたい。
あの映画のヒロインみたいに。
青く、燃えるような瞳で見つめられて。
抱きしめられて、愛を囁かれて、キスされて。
「……ぁ、ふ」
再び熱を持った自身に手を伸ばす。
「兄さん……」
兄のシャツから少し甘い香りが漂う。
雨のあとみたいな────────
外は雨。
明日は兄さんが帰って来る。
2021.9